旅行

2008年3月22日 旅行
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唐突ですが、私は遠藤周作が書いた本が好きです。

出会ったのは、大学の宗教関連の本について講義をする講座。
理系にもかかわらず、本好きなことと発表しさえすれば内容は
どうあれ80点もらえるから、という非常に不真面目な動機でした。

それまでは、(゜д゜)y-~~~宗教?それ食べれるの?金ばっかじゃん、という感じで無宗教(今でも無宗教ですが)だったのですが、
点数稼ぎ目的により本を探す羽目になり・・・。
 で、講義中に先生が言っていた「ある宗教者から見たら神を
冒涜するとんでもない本として〜」と言う台詞から読んでみた、と。その本が「沈黙」でした。

内容を言っても面白くないし、他にもっと上手いレヴューが
あるでしょうから省略しますが、隠れキリシタンについて
扱った内容で、中は本当に先生が言ったような感じ。

 その中の台詞に「あの人があなたの人生を横切る」という
言葉があるんですね。それを見てふと(これって自分もキリスト教信者に?
ありえない・・・)と思いつつ何故か頭に残っていました。
 でも、その時には大して考えずに終わったのですが、2,3年して
ふと沈黙の本を図書館でまた見つけて・・・読み直して思ったんです。

「何故彼らはこれほど神を信じる、信じられるの?」

今から考えれば、遠藤周作が描きたかったテーマは上記とも少し
違っています。ただ、その時に色々悩んでいたため、信者といえば狂信者(マテ)ではないですが、迷いが少ないように見えたんですね。
 そこが羨ましくて、どうしたら(出来れば宗教者にはならずに)迷いが少なくて済むかという願いから疑問が強烈に湧き上がり、遠藤周作の本を読み漁りました。
 その時のことは、また別に書くかもしれません。
いずれにせよ、見事に「あの人が自分の人生の目の前を横切った」わけです。

 ここで話を変えますが、遠藤周作が沈黙、そして
隠れキリシタンの物語を書きたいと思ったのは、彼がオランダ
坂の資料館で踏み絵の版画を見たんです。
 そこで、その踏み絵が足の汚れや脂で黒く滲んでるのを見て
「彼らはどんな思いでこの人(踏み絵)を踏んだのだろう」
という思いが沸いたそうです。
 そこで彼は調べ始めたのですが、、、、

歴史はいつも強者の記録しか残さない。

転ばなかった人は強い人です。
彼らはたとえ殺されたとはいえ、どんな痛みを与えられても
自分の信心を捨てることを拒んだため、為政者も彼らに対しては
(表立ってではないでしょうが)、尊敬の念を感じていたに違いない
と思います。それ故に記録する価値があると思われたのでしょう。

では、転んだ人は?
転んだ人は弱い人です。
為政者は彼らが転んだ時は、手のひらを返したように労わった
ことが想像出来ます。しかし為政者の心中は・・・そう、軽蔑。
軽蔑する人間なんて記録になど残しません。また、転んだ人は
元の世界に戻っても転び者としてのレッテルを貼られ、下を
向いて生きていくことになります。
そんな人が記録に残る訳ないですよね。残りたいとも思わない
でしょうけれど。

彼は、こう思いました。
死なないギリギリの拷問をされても拒める人は
現代でどれくらいいるでしょうか。
 彼らがこの時代に生まれていたのであれば、我々のように
弱くても下を向かずに生きていかずに済んだかもしれない。
 私は拷問されて転ばない自信がないですし、皆さんの多くも
そうだと思います。でも現代であれば、弱き者であっても
信じるものを捨てずに普通に暮らしていけたはずなのです。

 転んだ者は確かに恐れや痛みに負けた。しかし、その者が全く
苦しまなかった訳がない。
 彼らも、転ばなかった者同様苦しみ、心を痛めたはずなのだ。
苦しんだはずなのに、軽蔑されて歴史の隅に忘れ去られていくのは
あまりに忍びないと。

彼の生い立ちもあるのですが、そこから彼は沈黙を書き上げた
のです。
歴史にも残らない、弱き者の声なき声を、何も記録が残って
いないからこそ、小説家として想像力を駆使して記録を作ろうと
しました。
(ちなみに彼が書いた歴史小説は非常によく調べられています。
見る価値あり)

で、えらい長々と前置きしましたが、長崎に隠れキリシタンの
史跡や遠藤周作文学館があります。

 これまでに2回ほど長崎を訪れて、遠藤周作の足跡を辿って
旅行しました。
 その1度目、原城という天草四郎時貞が最後に立て籠もった廃城
跡から撮った写真がこれです。
 奇跡とか神様とかは信じていませんが、これだけは何かの縁で
見せてもらったのかな、と思ったりします。

#ちなみに、えらいさんが来るからとかで、県の管理している部署
が原城跡を整備されているのですが、やめて欲しかった・・・。
 長崎は大好きなんですが、金を割り当てることだけ考えたよう
な悪趣味な整備の仕方で、あれは非常に残念です。

(´・ω・`)もうちょっと旅行関係の話が続くかもよ?

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