チェルノブイリ

2011年4月15日 読書
今、チェルノブイリの真実、という本を読んでいる。

興味深いことに、これまで日本政府がやったことと、チェルノブイリ事故が
発生した際にソ連がやったことが酷似している。あたかも、ソ連のやったことを
お手本にして機械的にやっているようだ。

以下は実際にチェルノブイリ事故が発生した際に行われたことだ。
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・10km圏内の避難地域の設定⇒30km圏内の避難地域の拡大

拡大するのにも15km先にベラルーシの国境線があったために、避難による出費と人命を
天秤に掛けて議論が終わらず、最終的にギリギリになって責任者が30km圏内の
避難を決断した。
 しかし、その後も汚染地域は30km圏内だけだと言い続けた。
実際には、数百km先であっても
ホットスポットと呼ばれる強汚染のポイントが放射性雲によって存在し得るが、
ある程度の広さで汚染度が平均化されてしまうと汚染地域には見えず、単純に分けることは不可能。


・水文気象委員会は詳細な汚染地図を作成したが、モスクワの上層部から
公開を止められていた。


・原発を推進するフランスは「遠隔地のフランス国土は、チェルノブイリ事故による
放射性降下物から完全に免れた」と発表。後にばれて非難を受ける。


・「きれいなもの」がない場合、許容値を吊り上げることで、「きれいなもの」を作り上げて
安全宣言をする。


・ヨウ素131とセシウム137の検査だけ行い、バター等の加工品にすることで安全だと発表。
ただし、ストロンチウムやプルトニウムは検査を行わない。


・ソーセージ用の肉で、汚染されたものを汚染されていないものの中に混入させ、
基準値をクリア。


国が避難地域を小さめに設定したり、健康被害がない、または小さいと主張するのは、
それによって掛かる費用が大きく異なってくるからだ。

ソ連の場合、避難地域の設定により、避難を余儀なくされた人は政府から補償金を受け取った。
当時のレートで毎月3600~7200円。対象はざっくり200万人。
これっぽっちを払うだけで5年間に4兆八千億円の財源が必要になり、チェルノブイリ事故対策後に
費やされた4年間の総額を上回るものであった。(旧ソ連崩壊後は補償金額は実質目減り)

・チェルノブイリ原発事故の直接的損害額(推定)は、R・ブラウンの「地球白書」によると
- 敷地の除染 3.5~6.9億ドル
- 被害者の治療2.8~5.6億ドル
- 避難(移住)0.7億ドル
- 発電所の切り替え10.4~12.5億ドル
- 農業損失10~19億ドル
- 輸出の減少2.2~6.6億ドル

合計:29.6~51.3億ドル

もちろん、間接的な影響も含めると被害額は計算しようもない。しかも、人間が
生きている限り被害は拡大し続ける。

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ちなみに、今回民主党政府のやったことは、避難すべき汚染レベルや作物の
規制についてはソ連よりも緩い規制で実施している部分もある。

国民の生活が第一、という民主党のスローガンは一体なんだったのか。
人命と被害コストを天秤に掛けたのは、共産主義のソ連だけでなく、資本主義の
日本政府も同じであった。


原発対応だけでなく、避難所によっても十分な補給が未だ行われずにバタバタと
亡くなられているところが現在でもあるという噂も聞く。


・・・・ここまで書いていると、ある邪推が頭をもたげてくる。

「日本国全体にとって、復興するためにはコストを最小限に。そして、補償の必要な被災者が出来るだけ少ない方が良い」

これは紛れも無い事実。
事実であるが・・・・。


今までの無策は、単に民主党が無能であるためだと思いたい。


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