節電が呼び掛けられて久しい。
ちなみに3月~5月の電気使用料が基本料金入れて月に約2300円だった。
エコ発電だ、原発しかない、脱原発、色んな意見があるが、実際そんなに
知らなかったので事故以来ずっと調べてきた。
以下はそんなメモ。
--------------------
●原子力発電
<長所>
核エネルギーの利用という点で、大国のみならず日本での技術保持が
できる。核技術の保持と言う意味で軍事的価値は無いわけではない。
また、運用中は石油を大量消費しないので、石油価格の高騰を抑えられる。
<短所>
1976年の米国データでは、原発維持するための核燃料を取り出すための
石油を26消費し、石油100を獲得。つまり石油換算で4倍のエネルギーを発生する。
ウランの採掘加工、使用後の処理を考えると更に効率が落ちる。
運用中だけ考えると、取り出せるエネルギーが火力発電の50%超の発電
効率に比べ、最新でも40%程度と効率はそれほど良くなく、運用時にも
数%のエネルギーを消費する必要あり。
運用が難しく、運用後も使用済み核燃料の取り扱いに困るため土地の沢山
ある国に埋めてもらう必要がある。。
事故発生時のリスク考慮のため、遠隔地に建設されることによる送電ロスが
発生。
<その他>
NASAの言い出したCO2による温暖化現象をフランスが原発推進に利用した
ことで有名。ただし、原発作りやその後の後始末を計算に入れた場合の
CO2削減効果はない。そもそものCO2による温暖化という理屈自体が
眉唾の政治的経済的駆け引きの産物であるが。
核融合発電は維持するために原子炉が複数必要なくらいの膨大な電力が
必要となり、本末転倒。
MOX燃料についても、核不拡散に路線変更した米国に梯子を外されたために
その利用は半ば宙に浮いた状態。
技術的には安全運転が可能だが、現実として人間が運用するために
ずっと安全に運転は不可能。
コストについても、運転時のコストのみ計算され、地元への協力金や揚水
発電施設分、ウラン発掘の際のコストは計算されていない。
#一部訂正。上記について計算された資料もある。
●火力発電
<長所>
運転技術が確立されており、万が一のリスクが低いことから
電力が必要な都市部に建設して送電ロスを低減可能。
また、発電エネルギーの取り出し効率が50%超と技術的には
最も進んでいる。
<短所>
大量に資源を消費することで、国際的な石油・天然ガスの価格
押し上げにつながる。(年間数兆円規模)
現時点で資源に乏しい日本では、海外依存度を高めなければ
運用がむずかしい。
<その他>
石炭火力の場合、石油1で石炭を掘り起こして発電すると石油100分の
エネルギーを発生可能。石油火力は100以上のエネルギーを発生可能で
ある。天然ガスも採取にはそれほどエネルギーが掛からず、優秀な発生
効率を誇る。
そもそもエネルギー発電やそのための設備製造には石油が主に
使われるため、石油を使わない発電は現在の石油文明ではありえない。
そういった意味では石油を使った発電ならば素直に石油や天然ガスを
燃やすのが一番資源効率の良い運用と言える。
資源枯渇論で言うと、利用できると判断されている石油とウランの枯渇
期限はほぼ五十歩百歩で、石炭が若干長生き。
●自然エネルギー(太陽光発電)
<長所>
稼働中は騒音や電波、熱等の環境公害がほとんどない。
そのため、消費する地点のそばに設備を設置可能で送電ロスを極小化可能。
停電障害に依存しない。
<短所>
地上に設置した場合、エネルギー効率20%の場合でも、日中で利用できるのは5時間。
その時点で1日換算して4%程度の効率となり、更に天候や埃等の汚れで
更に効率が落ちる。結果的に、実質2%程度と言われる。
そのために単結晶シリコンにして面積辺りの効率を30%に改善してもあまり効果はない。
また、地上設置だと天候に左右されるために安定供給源としてはメインになれない。
<その他>
全世界の電力を太陽光発電で賄おうとした場合、12万km2必要と言われる。送電ロスや
天候を考慮しないとすると、サハラ砂漠の約1/10の広さに並べればよい。
また、地上設置ではなく宇宙に設置することで宇宙太陽光発電も候補として挙がる。
宇宙であれば天候を気にせずにすみ、携帯電話程度のマイクロ波で地上に送電するので
万が一都市部に向けて照射されても人が死ぬことはない。ただ、この事業は国家レベルに
なるために現在の日本では技術的には可能でも制度的には不可能。
----------------
結局のところ、永久機関が存在しないことからも分かるように、どの発電
ソースを選んだとしても資源を消費しない発電は無い。
現代が石油文明である以上、石油が人類の知りうる最も効率の良い資源であるから、より効率の良いエネルギーが見つかるまで火力発電に回帰すべきで、かつ資源を節約するために消費を抑えねばならないのだろう。
上記で色々書いているが、純粋に技術的に対策をすればどれでも安全に運転は可能だと思っている。
事故が起きるのは人間が色んな思惑を持ってやるからだ。曰く、天災は想定外。曰く、安全だと聞いているから避難訓練など不要。曰く、ノルマのために多少無理な運転を実施。
このような弊害を引き起こしたのは明らかに独占企業化している電力会社と、
それに癒着してきた政府が客観的に自己チェックが出来なかったことに問題がある。
また、反原発の後釜として上っ面の良いエコというキーワードや、他の牛乳パックや発泡トレーのリサイクル、ゴミの再処理利用といった、大量消費の免罪符になりがちな気持ちだけのリサイクルの有効性についても考える必要がある。
例えば、エコカーと言われる次世代電気自動車も、運用時のみエコなだけであって、電気や部品を作るのは結局石油であるから、2次生成物の電気よりも直接石油で車を動かす方が効率が良いのではないか?
感情的に判断すると、何故それを選んだかという点が曖昧になり、これまでと同様の道をたどることになる。
今後の発電ソースを決めるのは是非全て情報公開してコストで議論し、間違ってもエコという思い込みの発生しやすいキーワードや感情論での発電ソース選定は避けるべきだ。そうすればもっとまともな国になる。
今回汚染された地域の人の思いは他のクリーンなところに住んでいる人にはわからない。その土地に住みたいという思いはプライスレスで、なんであろうと反原発、という気持ちは分かる。が、国民全員がどちらか判断するには定量的に評価できる状況にする必要がある。
まずは電力業界の本当の自由化と、トータルコストの計算の透明化をしてほしい。
その上で、どうしても原発が嫌/必要というのであれば、リスクをコスト化し、コスト部分に税金を掛けて事故発生時の補償にあてるようにすればいい。少なくとも今の隠蔽された状態よりも100倍マシだし、後でやり直しも効く。もちろん税制は議論をして法律で決めるのが大前提。
ゴミの有料化でゴミの量を減らせたように、人間は経済的な生き物だから、それであれば正常に判断するし、本当の意味でのエコも定着する。
追記
原発の原価の詐術についてのニュース
http://www.jiji.com/jc/v?p=foresight_7601
ちなみに3月~5月の電気使用料が基本料金入れて月に約2300円だった。
エコ発電だ、原発しかない、脱原発、色んな意見があるが、実際そんなに
知らなかったので事故以来ずっと調べてきた。
以下はそんなメモ。
--------------------
●原子力発電
<長所>
核エネルギーの利用という点で、大国のみならず日本での技術保持が
できる。核技術の保持と言う意味で軍事的価値は無いわけではない。
また、運用中は石油を大量消費しないので、石油価格の高騰を抑えられる。
<短所>
1976年の米国データでは、原発維持するための核燃料を取り出すための
石油を26消費し、石油100を獲得。つまり石油換算で4倍のエネルギーを発生する。
ウランの採掘加工、使用後の処理を考えると更に効率が落ちる。
運用中だけ考えると、取り出せるエネルギーが火力発電の50%超の発電
効率に比べ、最新でも40%程度と効率はそれほど良くなく、運用時にも
数%のエネルギーを消費する必要あり。
運用が難しく、運用後も使用済み核燃料の取り扱いに困るため土地の沢山
ある国に埋めてもらう必要がある。。
事故発生時のリスク考慮のため、遠隔地に建設されることによる送電ロスが
発生。
<その他>
NASAの言い出したCO2による温暖化現象をフランスが原発推進に利用した
ことで有名。ただし、原発作りやその後の後始末を計算に入れた場合の
CO2削減効果はない。そもそものCO2による温暖化という理屈自体が
眉唾の政治的経済的駆け引きの産物であるが。
核融合発電は維持するために原子炉が複数必要なくらいの膨大な電力が
必要となり、本末転倒。
MOX燃料についても、核不拡散に路線変更した米国に梯子を外されたために
その利用は半ば宙に浮いた状態。
技術的には安全運転が可能だが、現実として人間が運用するために
ずっと安全に運転は不可能。
コストについても、運転時のコストのみ計算され、地元への協力金や揚水
発電施設分、ウラン発掘の際のコストは計算されていない。
#一部訂正。上記について計算された資料もある。
●火力発電
<長所>
運転技術が確立されており、万が一のリスクが低いことから
電力が必要な都市部に建設して送電ロスを低減可能。
また、発電エネルギーの取り出し効率が50%超と技術的には
最も進んでいる。
<短所>
大量に資源を消費することで、国際的な石油・天然ガスの価格
押し上げにつながる。(年間数兆円規模)
現時点で資源に乏しい日本では、海外依存度を高めなければ
運用がむずかしい。
<その他>
石炭火力の場合、石油1で石炭を掘り起こして発電すると石油100分の
エネルギーを発生可能。石油火力は100以上のエネルギーを発生可能で
ある。天然ガスも採取にはそれほどエネルギーが掛からず、優秀な発生
効率を誇る。
そもそもエネルギー発電やそのための設備製造には石油が主に
使われるため、石油を使わない発電は現在の石油文明ではありえない。
そういった意味では石油を使った発電ならば素直に石油や天然ガスを
燃やすのが一番資源効率の良い運用と言える。
資源枯渇論で言うと、利用できると判断されている石油とウランの枯渇
期限はほぼ五十歩百歩で、石炭が若干長生き。
●自然エネルギー(太陽光発電)
<長所>
稼働中は騒音や電波、熱等の環境公害がほとんどない。
そのため、消費する地点のそばに設備を設置可能で送電ロスを極小化可能。
停電障害に依存しない。
<短所>
地上に設置した場合、エネルギー効率20%の場合でも、日中で利用できるのは5時間。
その時点で1日換算して4%程度の効率となり、更に天候や埃等の汚れで
更に効率が落ちる。結果的に、実質2%程度と言われる。
そのために単結晶シリコンにして面積辺りの効率を30%に改善してもあまり効果はない。
また、地上設置だと天候に左右されるために安定供給源としてはメインになれない。
<その他>
全世界の電力を太陽光発電で賄おうとした場合、12万km2必要と言われる。送電ロスや
天候を考慮しないとすると、サハラ砂漠の約1/10の広さに並べればよい。
また、地上設置ではなく宇宙に設置することで宇宙太陽光発電も候補として挙がる。
宇宙であれば天候を気にせずにすみ、携帯電話程度のマイクロ波で地上に送電するので
万が一都市部に向けて照射されても人が死ぬことはない。ただ、この事業は国家レベルに
なるために現在の日本では技術的には可能でも制度的には不可能。
----------------
結局のところ、永久機関が存在しないことからも分かるように、どの発電
ソースを選んだとしても資源を消費しない発電は無い。
現代が石油文明である以上、石油が人類の知りうる最も効率の良い資源であるから、より効率の良いエネルギーが見つかるまで火力発電に回帰すべきで、かつ資源を節約するために消費を抑えねばならないのだろう。
上記で色々書いているが、純粋に技術的に対策をすればどれでも安全に運転は可能だと思っている。
事故が起きるのは人間が色んな思惑を持ってやるからだ。曰く、天災は想定外。曰く、安全だと聞いているから避難訓練など不要。曰く、ノルマのために多少無理な運転を実施。
このような弊害を引き起こしたのは明らかに独占企業化している電力会社と、
それに癒着してきた政府が客観的に自己チェックが出来なかったことに問題がある。
また、反原発の後釜として上っ面の良いエコというキーワードや、他の牛乳パックや発泡トレーのリサイクル、ゴミの再処理利用といった、大量消費の免罪符になりがちな気持ちだけのリサイクルの有効性についても考える必要がある。
例えば、エコカーと言われる次世代電気自動車も、運用時のみエコなだけであって、電気や部品を作るのは結局石油であるから、2次生成物の電気よりも直接石油で車を動かす方が効率が良いのではないか?
感情的に判断すると、何故それを選んだかという点が曖昧になり、これまでと同様の道をたどることになる。
今後の発電ソースを決めるのは是非全て情報公開してコストで議論し、間違ってもエコという思い込みの発生しやすいキーワードや感情論での発電ソース選定は避けるべきだ。そうすればもっとまともな国になる。
今回汚染された地域の人の思いは他のクリーンなところに住んでいる人にはわからない。その土地に住みたいという思いはプライスレスで、なんであろうと反原発、という気持ちは分かる。が、国民全員がどちらか判断するには定量的に評価できる状況にする必要がある。
まずは電力業界の本当の自由化と、トータルコストの計算の透明化をしてほしい。
その上で、どうしても原発が嫌/必要というのであれば、リスクをコスト化し、コスト部分に税金を掛けて事故発生時の補償にあてるようにすればいい。少なくとも今の隠蔽された状態よりも100倍マシだし、後でやり直しも効く。もちろん税制は議論をして法律で決めるのが大前提。
ゴミの有料化でゴミの量を減らせたように、人間は経済的な生き物だから、それであれば正常に判断するし、本当の意味でのエコも定着する。
追記
原発の原価の詐術についてのニュース
http://www.jiji.com/jc/v?p=foresight_7601
コメント