4月23日の日記

2012年4月23日 ポエム
 エネルギー供給について、東電のここ4年間の過去の使用電力履歴を見る限り、
最大5000~6000万kW。
 年度により結構差があり、これは猛暑だったかどうかだろう。

 今後の使用量が気になるところだが、東電がどこまで電力供給できるかがはっきり
しない。水力発電所分や稼動していなかった火力発電所分を発表しなかったり、
過少申告した実績もあり、いまいちよく分からない。
 ただ、厳冬だった今年について、東電の供給電力は5200万kW、実際の需要は最大で
5000万kW程度だった。
 つまりは、もし猛暑でなく、火力発電に問題が生じず、かつ東電が供給電力能力を過少
申告していれば、期間停電をせずとも原発無しで何とかなる可能性はある。

 ただ、それも虫のいい仮定なので、最悪を考えてみる。火力発電所で問題が生じ、
数百万kW分の供給が不可能になり、2008年並の猛暑(最大6000万kW)、東電が供給電力
能力を正直に言っている場合。

 実は原発が止まったケースは過去にもある。原発で事故が発生し、他の原発も点検が
終わるまで稼動できなかった時のことだ。その時東電が取ったのは、特別に原発をいくつか
稼動させてもらうよう国に申請し、随時調整契約と言って大口需要者へ安い金額で電力
を調整する代わりに、電力不足の際は供給している電力を止める、といった契約を発効
させ、他の電力会社から電力を融通してもらった。更には火力や水力の出力を許可されている範囲内で+5%アップした。それでも用意できるのは400万kW程度
で、しかも今回は他の電力会社に頼ることは難しいと思われる上、原発稼動が怪しい。


 そもそも、供給電力と需用電力の関係は供給電力=需用電力x1.06~1.08程度が最低限
安全ラインのようだ。(過去のデータ見て言っているだけなので、実際の安全率知って
いる人いれば教えてください。多分そんなに離れてないと思いますが)
 供給電力が需要を必ず上回っている必要がある理由は、電力供給が交流であるためだ。

 ものすごく単純に話をすると、直流の場合は、ダムをいくつか連ねているような川に水を
流していくと、流れた水があるダムを満たすと次のダムに流れていく、というイメージ。
ある程度の水量が溜まらないと次のダムに流れていかないのだが、少なくとも水が一定量
溜まったダムは水が使える。
 だが、交流の場合は、全てのダムに対して水を一斉に流す形になる。流す水の量が
少なければ、どのダムも十分な水量が溜まらず、結果としてどのダムも使えなくなる。
 さらに、実際は発電機の過負荷を抑えるために電気をシャットアウトする機能が働くので、
こうなるとしばらくどこも停電したままとなる。

 では発電量をコンピュータでピーク電力需要に応じて調整すればいい、という話になるが、
話はもう少し複雑だ。特定の時間帯に突然需用電力量が跳ね上がることがあるからだ。
 グラフで見ると、スパイクと呼ばれる形状で、瞬間的に数値が跳ね上がってすぐ
に元に戻る。これはいかに出力調整が得意な火力発電であっても対応できるような
ものではない。だからこそ、上記で述べた安全率で常に供給電力に余裕を持つ必要
がある。一瞬でも上回れば全て停電するからだ。
 こういう現象は、例えば出社して9時に皆一斉にPCを立ち上げる、というようなことで起こりうる。(いわゆるログインストームのようなもの)
 電気機器が電力を消費するのは起動時が最大なので、こういう状況ならスパイク
も発生しやすい。


 そもそも供給電力能力が足りるのか、という点もある。最悪のことを考えた場合もまた、
何もしなければ上記の状況に陥りうる。

 今言われている自然エネルギー発電を進める?それはいいが、コストや安定供給の点は?
残念ながら、自然エネルギー発電はどう考えても直近の問題を解決できない。 
 過去に、原発を推進しようとした日仏独のうち、ドイツが自然エネルギー発電大国になった
ことは有名だ。最大出力だけで言えば、ドイツの火力発電(原発?)と自然エネルギー発電の割合は
ざっくり言って5:5。やれば出来る、と言いたくなるが、実際のところ全体の供給電力の4/5は火力発電による。
つまりは自然エネルギーは安定供給するに難しいということだ。だから、100万kWの自然
エネルギー設備を作れたとしても、実際の出力は半分以下だった、ということが起こりうる。
どう考えても火力の方がコストや安定供給能力という点で遥かに優れている。

 では、火力発電をもっと作れば?
実はこれも直近の問題を解決できない。原発ほどではないが、環境調査や土地取得のために
年単位で時間が掛かり、まともな手段ではまず直近の問題解決は不可能。

 となると、残念ながら、状況によっては現在持っている設備、つまりは原発を動かすか、計画
停電を実施するしかない。

  原発を動かせるなら話は簡単。こんなことをグダグダ書く必要はない。

 ではまた計画停電?しかし、東電が馬鹿でなければ昨年のような画一的な計画停電は実行
しないだろう。
消費電力ピークは大体13~15時、安全を見ると11時~16時に集中しており、裏を返せば
その時間帯の電力消費を避ければ何とかなる可能性がある。
 たとえば工場であれば、12~13時の昼休みを13~14時にずらす、出社や退社を一時間
早めたり遅めたりすることで、システム起動に掛かる起動電力分の消費を分散させる。
 まだ夏までに時間があるので、まとめ役を作って各工場で調整計画を立てられれば
少ない負担で計画停電をせずにいけるかもしれない。更に、各工場でも停電に備えて巨大な発電機が既に設置されているところが大半なので、昨年ほどダメージは食らわないと予想している。

 もちろん、家庭での電力消費にも気を使わねばならない。が、そもそもの家庭の電力消費は
工場のそれと比べて大したものではないので、節電を心がけてもらうくらいでいいと思う。
 少なくとも、昨年は主婦が大活躍してピーク時でもないのにクーラーもつけてくれなかったと
ぼやく同僚が沢山いたので、割と期待出来ると考えている。

 東電の管轄では、気温が30℃以上になると1℃上昇するごとに約170万kWの電力需要が発生すると言われているが、今年は厳冬だったので、冷夏になることを期待している。後は、東電がどこまで正直に供給能力を出しているか、によって、ここの項の結論は変わる。

2011年は公私ともに最悪の年だったので、是非今年は幸運な年であって欲しい。

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