そろそろ書かなければならない。難しい話なので、ずっと迷っていたが。

 まず初めに、何故原発が建てられたかから始めるべきか。

 1950年代、初めてソ連が5000kWの原発稼動に成功し、ついで英国、その次に米国が原潜用のものを引っ張り出して原子力による発電は始まった。当時は、原子力は夢のエネルギーと思われており、原子力が普及したら電気代がタダになる、位のイメージがあった。
 そこで、遅れてはならじと日本政府も原発を建てようとしたが、原爆を2発も落とされている国柄もあり、なかなか計画は進まなかった。しかし、1973年に石油ショックがあり、そこから電源開発を原子力に大きくシフトすることになる。
 そうは言っても原発の安全性への不安は拭い去れる訳ではないため、当時の田中角栄が電源開発を進めるために、目的税、いわゆる電源三法を作った。つまり、電源開発の地元には色んな迷惑が掛かる
ので、税金を投入することで理解を得る、迷惑料だ。

 これにより、原発建設は進んだ。主に人口減少が著しく、地場産業が育っておらず、交通の便が悪い土地に建てられた。

 傍から見れば、金に目がくらんで選択したようにも見えるが、実際のところ、子を育てても仕事も無く、外界との連絡にさえ難渋するような土地で家族一緒で生活し食っていくことが難しい状態であれば、例え不安であっても苦渋の選択であったろうと思う。
 原発を誘致することで、地元に補助金や税金が入るだけでなく、雇用や、更には原発建設や揚水発電施設建設のために立派な道路が山の中にまで出来る事になるのだから。
ある意味、政治力の恩恵を受けてこなかった貧しい地域が狙い打ちに
された、政治の無力さから来たものとも言える。

 上記を踏まえてもらった上で、原発建設によりどのように金が落ちるのかを記します。

 電源三法は元々原子力に限定されないものだったが、1990年以降は原子力に特化する傾向を強めていった。地球温暖化対策という大義名分のためだ。
 電源三法には色々あるが、電源開発促進税(電促税)という税金を電力消費量に比例して課税する。
現行の税率は1000kW/hあたり375円。これらが出力に比例して各原発のある地域へ補助金という形で落ちる。ただし、原発の電源三法交付金は立地した市町村にだけ落ちるのではなく、それに隣接する市町村とで折半することになる。これにより、福島には積算して1215億円ほどが交付されている。
(ちなみに福井は1600億以上交付されているはず)
 これに加え、膨大な固定資産税が地方税として発生する。本来は市町村税だが、あまりにも額が大きいために一定額を超える部分については県が召し上げる形になる。固定資産税以外に、県・市町村民税、事業税、核燃料税が発生するため、交付金の額は税金額に比べて大きいとは言えない。
 ただし原発の運転が開始されるまで税金は大して入ってこないため、交付金については開始以前の段階でむしろ多く支給される。

 ここで気になるのが、電源立地等初期対策交付金相当部分。これは環境影響評価の翌年度から支給される。設置が確定した訳でもなく、着工までまだ2年程度あるにもかかわらず。
 これはつまり、活断層があろうがなかろうが、既に原発建設は決まっていることを意味する。環境影響評価は、建設会社に都合の良いレポートを出す御用学者もいるので、結果は後付けでOK、となるのだろう。

 これ以上、税についての詳細を書く気はないので、もっと知りたい人は以下の本をご参照ください。分かりやすく書かれた良い本だと思います。
http://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%8A%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%AE%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%92%E8%A8%97%E3%81%9B%E3%82%8B%E3%81%8B%E2%80%95%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85-%E5%88%A9%E7%9B%8A%E8%AA%98%E5%B0%8E%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%81%AE%E7%A0%B4%E7%B6%BB%E3%81%A8%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%86%8D%E7%94%9F%E3%81%B8%E3%81%AE%E9%81%93-%E6%B8%85%E6%B0%B4-%E4%BF%AE%E4%BA%8C/dp/4880375705

 原発立地の市町村や県の長が再稼動になぜ賛成の意を示すか、理由がこれで分かります。交付金や税金により箱物の公共建物を沢山建て、恩恵を目に見えやすく
したは良いが、維持費がそれなりに掛かるため、普段の税収では到底賄えず、再稼動させて税収や補助金が落ちるのを期待している。言い方は悪いが、身の丈に合わない暮らしをしてきたツケと言っても良い。原発立地地域に県庁施設を置かない県知事が再稼動を要望するのを聞くと、色んなおもいがよぎる。


 ただ、これだけの交付金や税金でも、原発事故が起きれば兆単位の被害になるため割に合わないことは明らか。では何故原発を受け入れるかというと、原発は絶対に重大事故を起こさない、という安全神話が語られてきたためだ。


続きます。


コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索