30年代原発ゼロを再検討=核燃料サイクルは継続−茂木経産相(時事通信)
2012年12月27日 時事ニュース コメント (5)
ちょっと思うところを箇条書きに。。。
そもそも原発は、核燃料サイクルを続けることが前提でない限りはやる価値がない。核燃料サイクルの存在理由としては、その他の化石燃料よりもウランの方が埋蔵量が少ないため、高速増殖炉で燃やす以上の燃料を作り出し、発電資源の延命を図る、という点がある。
つまりは、核燃料サイクルは捨てない=原発は使い続けますよ、と言っているのですね。
日本における原発およびそれを支える核燃料サイクル構想は必要悪ではない。単なる悪だと考えている。
その根拠をとりあえず思いついただけなるべく簡潔に挙げます。
1). 原発の発電コストは他の化石燃料のそれよりも高い
よく水力発電や火力発電、原発にソーラーや風力発電のコスト計算で原発コストが一番安く見えるように表示されているが、あれは恣意的なものだ。
ああいった数値を出すために、原発を40年間80%稼働率で発電させたケースで試算している。稼動できていた最近でさえ60%台がせいぜいだから、発表者は結論ありきで都合よくコスト試算をしている。もちろん事故発生時の費用は含まれない。
2).高速増殖炉の発電コストも他の化石燃料よりも高くなる
原型炉である「もんじゅ」ではご存知のようにナトリウムを1次および2次冷却材として使用している。
しかし、水と反応しやすく高熱となり、透明でないナトリウムを使うことにより、水との反応で1次冷却の漏れを避けるために2次冷却システムを追加、原発よりも200℃以上高くなる上、98℃以下にするとナトリウムが固まってしまうために熱管理が大変(配管材料や設計に気を使い、炉停止中も電熱線で温める必要アリ)、トラブルが起きた場合に中が見えず近づけないために調査が難航、トラブルを監視する設備が外れるとそれがトラブルの元に)等々、配管や検査の設備が原発よりも更に複雑化することになったため、発電コストを無視せざるを得ない。化学的活性が強いナトリウムを使う限り、この対策のためにコストを削減するのは他の方法を模索するよりも困難。原発の発電コストより高くなる公算が高い。
3).高速増殖炉の事故時のリスクは原発よりも高い
原型炉だから、という意味ではなく、その特性においてリスクが高い。
現行のPWR等の軽水炉では、燃料が折れ曲がったり折り重なっても核爆発までは理屈上起こらない。
しかし、高速増殖炉は濃度を通常より高くした可燃ウランに中性子を高速でぶつける、という動きであり、核反応が進む時間が通常の原発に比べて40倍程度速く、原爆により近い。更に、構造として折れ曲がったりして密集することで暴走する。そのため、高速増殖炉で最悪のトラブルが起きれば、原発とは違う結果になる。
また、冷却系の温度が高いため、熱応力の問題から配管の厚さを薄くしており、原発に比べて地震に対して構造的に3~7倍程度弱いとされている。
4).燃料の増殖効率の悪さ
「もんじゅ」の燃料増殖率は1:1.2。つまり、燃料を100燃やせば120の燃料に転換される。ただし、これは”目標”であって、実際には1:1.1程度ではないかと言われている。更に、増殖した燃料を分離したり整形したり保管したりする必要があるため、その再処理工程で最悪1割程度がなくなる可能性がある。
つまり、転換できる限り燃やした分は戻ってくるが、増えることは無い。
それだけでも立派だ、と思うかもしれないが、高速増殖炉だけで自家発電するという核燃料サイクル構想としては有り得ない結果。1基の高速増殖炉から2基目の高速増殖炉用の燃料を作るのに50~90年掛かるという試算もあり、そもそも核燃料サイクルの本格稼動予定が最初の想定から70年(現段階で2050年)も遅れているので、我々の生きている間に実現することはまずない。
保有プルトニウムを減らすためにMOX燃料を原発で燃やしていたりするが、加工が難しくかつ密度を低くしなければならないため、普通にウランを燃やすよりも効率が悪い。また、既存の原発はMOX燃料を想定して設計されていないので、事故の発生リスクが読めない。
5).再処理のリスク
六ヶ所村で再処理施設を建築したが、既に大幅に建築予算を超過している。そのため、実際に処理を開始した場合には英仏に頼んだ場合の2倍のコストとなる。
さらには、操業開始の暁には、福島事故発生から1ヶ月で放出された総ベクレル量の1/50を毎年放出予定。現行の法律では原発と異なり排出基準が厳しくないため、このような結果となる。(トリチウムのみで換算。各種放射性物質の収集方法もあるが、処理コストが嵩むため収集されない)
6).地球温暖化問題を原発が救うという嘘
これはどこかで別途取り上げると思うが、、
(・ω・)ぱっと思いついただけでこんな感じ。
簡潔じゃねえよ!といわれるかもだが、言いたいことはもっとあるが、今回は省いたつもりなのでこう書いたのでお許しを。
原発推進派も反対派も嘘をつくが、いくらなんでも推進派の嘘が多過ぎる。
一点だけ擁護できることがあるとすれば、税金を落とすシステムを作って立地地域に利益を落とす手段としてだ。ただそれも、ナマポ問題と同じで逆に自力で頑張る意欲を無くさせている。
原発は宇宙時代のために使えばよい。それ以外で日本で商用発電に原発や核燃料サイクルを使うメリットが全く見えない。
核燃料サイクルが始まったら、どんな影響が出るんだろう。
ちなみにトリチウムは日本語では三重水素といい、親水性なので体内被曝だと血液とかに含まれることになるんですかね。水と一緒に存在することで体内被曝への影響がどれくらい下がるかが読めないですが。
エネルギーとしてはトリチウムの値はセシウムの1/10くらいですのでパワー弱め。まぁ、DNAの結合エネルギーから見ると、ライフル銃で撃たれるのと拳銃で撃たれるくらいの違いです。
ICRRでは胎児が100mSvの被曝でIQが30下がる(ECRRでは閾値無し)と公表していますが、脳に血液が溜まりやすいので、頭の良くない子供が増えるかもしれん。
(´・ω・`)資源が水しかない国なのに、発明する頭脳が無くなったら、電気が有り余ってても売り物が作れなくて意味ない気がするんですが。日本大丈夫かな、と。
1/6追記
もんじゅは実証炉ではなく原型炉の間違いでした。
また、六ヶ所村は建築は終わっていてトラブル等で稼動していなかったので
建築中という言い方は誤りです。
お詫びして訂正させて頂きます。
そもそも原発は、核燃料サイクルを続けることが前提でない限りはやる価値がない。核燃料サイクルの存在理由としては、その他の化石燃料よりもウランの方が埋蔵量が少ないため、高速増殖炉で燃やす以上の燃料を作り出し、発電資源の延命を図る、という点がある。
つまりは、核燃料サイクルは捨てない=原発は使い続けますよ、と言っているのですね。
日本における原発およびそれを支える核燃料サイクル構想は必要悪ではない。単なる悪だと考えている。
その根拠をとりあえず思いついただけなるべく簡潔に挙げます。
1). 原発の発電コストは他の化石燃料のそれよりも高い
よく水力発電や火力発電、原発にソーラーや風力発電のコスト計算で原発コストが一番安く見えるように表示されているが、あれは恣意的なものだ。
ああいった数値を出すために、原発を40年間80%稼働率で発電させたケースで試算している。稼動できていた最近でさえ60%台がせいぜいだから、発表者は結論ありきで都合よくコスト試算をしている。もちろん事故発生時の費用は含まれない。
2).高速増殖炉の発電コストも他の化石燃料よりも高くなる
原型炉である「もんじゅ」ではご存知のようにナトリウムを1次および2次冷却材として使用している。
しかし、水と反応しやすく高熱となり、透明でないナトリウムを使うことにより、水との反応で1次冷却の漏れを避けるために2次冷却システムを追加、原発よりも200℃以上高くなる上、98℃以下にするとナトリウムが固まってしまうために熱管理が大変(配管材料や設計に気を使い、炉停止中も電熱線で温める必要アリ)、トラブルが起きた場合に中が見えず近づけないために調査が難航、トラブルを監視する設備が外れるとそれがトラブルの元に)等々、配管や検査の設備が原発よりも更に複雑化することになったため、発電コストを無視せざるを得ない。化学的活性が強いナトリウムを使う限り、この対策のためにコストを削減するのは他の方法を模索するよりも困難。原発の発電コストより高くなる公算が高い。
3).高速増殖炉の事故時のリスクは原発よりも高い
原型炉だから、という意味ではなく、その特性においてリスクが高い。
現行のPWR等の軽水炉では、燃料が折れ曲がったり折り重なっても核爆発までは理屈上起こらない。
しかし、高速増殖炉は濃度を通常より高くした可燃ウランに中性子を高速でぶつける、という動きであり、核反応が進む時間が通常の原発に比べて40倍程度速く、原爆により近い。更に、構造として折れ曲がったりして密集することで暴走する。そのため、高速増殖炉で最悪のトラブルが起きれば、原発とは違う結果になる。
また、冷却系の温度が高いため、熱応力の問題から配管の厚さを薄くしており、原発に比べて地震に対して構造的に3~7倍程度弱いとされている。
4).燃料の増殖効率の悪さ
「もんじゅ」の燃料増殖率は1:1.2。つまり、燃料を100燃やせば120の燃料に転換される。ただし、これは”目標”であって、実際には1:1.1程度ではないかと言われている。更に、増殖した燃料を分離したり整形したり保管したりする必要があるため、その再処理工程で最悪1割程度がなくなる可能性がある。
つまり、転換できる限り燃やした分は戻ってくるが、増えることは無い。
それだけでも立派だ、と思うかもしれないが、高速増殖炉だけで自家発電するという核燃料サイクル構想としては有り得ない結果。1基の高速増殖炉から2基目の高速増殖炉用の燃料を作るのに50~90年掛かるという試算もあり、そもそも核燃料サイクルの本格稼動予定が最初の想定から70年(現段階で2050年)も遅れているので、我々の生きている間に実現することはまずない。
保有プルトニウムを減らすためにMOX燃料を原発で燃やしていたりするが、加工が難しくかつ密度を低くしなければならないため、普通にウランを燃やすよりも効率が悪い。また、既存の原発はMOX燃料を想定して設計されていないので、事故の発生リスクが読めない。
5).再処理のリスク
六ヶ所村で再処理施設を建築したが、既に大幅に建築予算を超過している。そのため、実際に処理を開始した場合には英仏に頼んだ場合の2倍のコストとなる。
さらには、操業開始の暁には、福島事故発生から1ヶ月で放出された総ベクレル量の1/50を毎年放出予定。現行の法律では原発と異なり排出基準が厳しくないため、このような結果となる。(トリチウムのみで換算。各種放射性物質の収集方法もあるが、処理コストが嵩むため収集されない)
6).地球温暖化問題を原発が救うという嘘
これはどこかで別途取り上げると思うが、、
(・ω・)ぱっと思いついただけでこんな感じ。
簡潔じゃねえよ!といわれるかもだが、言いたいことはもっとあるが、今回は省いたつもりなのでこう書いたのでお許しを。
原発推進派も反対派も嘘をつくが、いくらなんでも推進派の嘘が多過ぎる。
一点だけ擁護できることがあるとすれば、税金を落とすシステムを作って立地地域に利益を落とす手段としてだ。ただそれも、ナマポ問題と同じで逆に自力で頑張る意欲を無くさせている。
原発は宇宙時代のために使えばよい。それ以外で日本で商用発電に原発や核燃料サイクルを使うメリットが全く見えない。
核燃料サイクルが始まったら、どんな影響が出るんだろう。
ちなみにトリチウムは日本語では三重水素といい、親水性なので体内被曝だと血液とかに含まれることになるんですかね。水と一緒に存在することで体内被曝への影響がどれくらい下がるかが読めないですが。
エネルギーとしてはトリチウムの値はセシウムの1/10くらいですのでパワー弱め。まぁ、DNAの結合エネルギーから見ると、ライフル銃で撃たれるのと拳銃で撃たれるくらいの違いです。
ICRRでは胎児が100mSvの被曝でIQが30下がる(ECRRでは閾値無し)と公表していますが、脳に血液が溜まりやすいので、頭の良くない子供が増えるかもしれん。
(´・ω・`)資源が水しかない国なのに、発明する頭脳が無くなったら、電気が有り余ってても売り物が作れなくて意味ない気がするんですが。日本大丈夫かな、と。
1/6追記
もんじゅは実証炉ではなく原型炉の間違いでした。
また、六ヶ所村は建築は終わっていてトラブル等で稼動していなかったので
建築中という言い方は誤りです。
お詫びして訂正させて頂きます。
コメント
事故率も稼働率も最悪で、ろくな実績が残せていない上、
職員に自殺者も出てます。
こんなありさまなのに民主党時代もずるずると予算をつけられていたという。
まさか実は凄い稼働率でどこかにプルトニウムを供給してるとか?
決められないのが民主党ですからねぇ。
高速増殖炉のある国はどこもプルトニウムが腐るほど溜まって困ってるみたいですし、それ用の燃焼炉もまだフランスですら開発中。。。筋道が立っていないから既存路線で行きたがるのか、何か原子力に夢でも持ってるのか。
まあ、この大臣に言えることは、これだけ実用化に長いスパンが掛かる技術なのだから、本気でやるつもりなら事故時の想定対応をまともにして(想定不適当事故とかいう妄言禁止で)年1回は周辺県も含めて一斉避難訓練、政権交代で方針転換した場合の他への技術流用案くらいはせめて考えとけと・・・。
でも、電力会社はコストの3%を利益として享受できますから、廃棄物処理と事故の責任さえ国が約束してくれれば、美味しいリソースだったのだと思います。
電力館とか行かれたことがあれば分かると思いますが、施設が豪華な割に来場者全然いません。あれも発電コストに入れて儲けてたとか報道があったような。。。(曖昧)
現行の電力会社の利益に関する法改正を行わない限り、世界一高い電気代の状況は変わらない、発電コストが顧みられることはないと思います。
ちなみに、将来核燃料サイクルが本格的に始まって原発が高速増殖炉に置き換われば、重大事故が起きても周辺住民の大半は即死するので補償は原発よりかは安めですみそうですね。。。(;・ω・)こんなん言っていいのかどうか分かりませんが。
いやいや、全くその通りだと思います(苦笑)